高齢者が自立した生活を続けるためには運動機能の維持が重要です。そのため多くの介護施設では、要介護者の日々の生活の中にリハビリを取り入れています。一般に、リハビリテーションというと「部分的な機能回復のための訓練」というイメージが強いかもしれません。しかし、介護施設でのリハビリは高齢者の生活の質を全体的に高めていくということが一番に要求されます。「自分でトイレに行く」「居室から食堂までの距離を手すりを使って歩く」など、生活に必要な動作の1つ1つをなるべく自分自身で行うことで生活にメリハリができ、入居者自身の生きる意欲が湧くことも多いのです。介護施設が積極的にリハビリを取り入れることで、加齢により起こる身体機能の低下を少しでもゆるやかなものにできれば、入居者の健康寿命を延ばすことができるでしょう。
介護施設でのリハビリは、看護師や理学療法士の専門知識と介護タッフとの連携が何よりも大切になります。また、要介護者一人一人が楽しみながらリハビリを行える環境づくりも重要です。それには、レクリエーションを通じたリハビリをスタッフが協力し合って企画、実施することもとても有効だと言えるでしょう。要介護者が楽しく主体的にリハビリを行うことができれば、自然に利用者同士のつながりも生まれ、精神的なゆとりも生まれてくることでしょう。このようなリハビリの効果は単に身体機能の維持だけでなく、老人性のうつの予防や孤独感の軽減にも大いに役立つと言えます。